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ブランドコンセプトの作り方|商品・デザイン・販促につなげる

自社の強みをどうまとめ、どの方向性を選ぶか。ブランドコンセプトの作り方を、材料の整理、案の比較、商品・デザイン・販促への落とし込みまで、具体例とともに解説します。

ブランドコンセプトを考える3つの視点:誰に届けるか、提供する価値、その根拠

ブランドコンセプトをつくろうとすると、商品の機能、企業の思い、顧客に届けたい価値など、伝えたいことが次々に出てきます。どれも大切だからこそ、何を中心に置くかが決まらず、社内の議論や制作への依頼が止まってしまうことがあります。

ブランドコンセプトを決めるには、優先する顧客とその状況を明らかにし、自社が届けられる価値と根拠を結びつけます。そのうえで複数の方向性を比較し、商品・デザイン・販促の判断に使えるかを確かめる。この順番で考えると、言葉を選ぶ理由を関係者で共有しやすくなります。

この記事では、既存ブランドの見直しや新しいブランドづくりを担当する方に向けて、材料の整理から案の選定、制作への引き継ぎまでを説明します。

ブランドコンセプトで決めること

ブランドコンセプトは、誰にどのような価値を届けるブランドなのかを、関係者が共有できる形にまとめた基本的な考え方です。商品やサービスを選ぶ顧客の状況と、自社が提供できることを結びつけ、事業や制作の方向性を判断する基準にします。

まず、今回扱う対象が企業全体なのか、商品ブランドなのか、一つの商品なのかを決めます。企業全体の考え方と、特定商品の購入理由を同じ範囲で議論すると、目指す答えがそろいません。既存ブランドを見直す場合は、顧客がすでに評価している良さも確認します。

整理したいのは、次の三点です。

  • 誰の、どのような場面や課題に向き合うのか
  • その人に、どのような価値を約束するのか
  • その約束を、自社の何によって実現するのか

キャッチコピーは、顧客に価値を伝えるための表現です。コンセプトが定まると、コピーに何を込めるか、どの表現が方針に合うかも判断しやすくなります。最初から短く印象的な一文にする必要はありません。

案をつくる前に材料をそろえる

社内で思いつく長所だけを集めると、顧客が選ぶ理由とずれることがあります。購入者の声、営業や接客で聞いたこと、失注理由、商品仕様などを並べ、確認できた事実と社内の仮説を分けます。

集める材料確かめること
顧客の状況どんな場面で必要になり、何に困っていたか
購入や見送りの理由何が決め手になり、何が不安や障害になったか
比較された選択肢他社商品、自分で行う方法、購入しない選択とどう比較されたか
提供できる根拠商品の構造、技術、素材、サービス体制など、約束を支える事実は何か
引き継ぐ強み既存顧客が評価し、今後も残したい特徴は何か
事業として目指す方向どの商品や顧客を育て、そのために何へ投資するか

一件の印象的な意見を顧客全体の考えと扱わず、誰が、どの状況で話したのかも残します。新しいブランドで購入者がまだいない場合は、想定顧客が現在使っている代替手段や、その不満を確認します。資料にないことは、追加で確かめる問いとして残して構いません。

顧客と価値を結びつけて方向案をつくる

優先する顧客と場面を決める

年齢や性別に加えて、その人が何を実現したくて、どのように選んでいるかを具体化します。同じ商品でも、自分が毎日使う人と贈り物として選ぶ人では、確認したいことや購入の決め手が変わります。

法人向けのサービスなら、実際に使う担当者の負担と、導入を判断する責任者の条件が異なる場合があります。誰の課題を中心に置き、ほかの関係者には何を説明する必要があるかまで整理します。優先順位を決めることで、最初に伝える内容をそろえられます。

提供する価値と根拠を組み合わせる

顧客にとっての価値と、それを実現する商品・サービスの事実を対にします。たとえば「手入れの負担が少ない」という価値を掲げるなら、分解のしやすさ、洗う部品の少なさ、手入れ方法などに裏付けが必要です。

「高品質」「安心」「豊かさ」のような言葉を使う場合も、顧客にどんな違いが生まれるのかを説明します。顧客が求めていても、現状の商品や運用で提供できないことは、商品改善の課題として扱います。

意味の異なる方向案を並べる

材料がそろったら、優先する顧客や価値の違いが分かる方向案を二つから三つ作ります。同じ意味の言葉を言い換えるだけでは、事業として何を選ぶのかを比較できません。

最初は「どのような人に、どのような価値を、自社の何によって届けるか」を説明する文章にします。案ごとに、中心に置く価値と、それを支える根拠を書き添えておきます。

社内で意見が割れたときに案を選ぶ基準

案を見せる前に、今回重視する条件と最終的に決める人を共有しておきます。会議では、顧客についての見方、提供できることの認識、事業の優先順位、表現の好みを分けて議論します。意見が割れる理由によって、追加で必要になる材料が違うためです。

案を比べるときは、次の点を確認します。

  • 優先する顧客の課題や期待に合っているか
  • 商品やサービスの事実で約束を支えられるか
  • 比較される選択肢に対して、選ぶ理由を説明できるか
  • 既存の良さを生かし、今後育てる商品や事業ともつながるか
  • 商品、デザイン、販促を選ぶ場面で判断に使えるか

調理道具ブランドの方向案を比べる例

以下は、選び方を説明するための仮の例です。実際の支援案件ではありません。分解して洗いやすい構造と交換部品の供給体制を持つ調理道具ブランドで、購入者からは手入れのしやすさが評価されている、と仮定します。

方向案判断するために見ること
本格的な調理を楽しめる調理性能を重視する顧客の需要と、その期待を支える機能を確認する
手入れの負担を減らし毎日使える顧客の評価と商品の構造がつながる。実際にどの手間が減るかを具体化する
気に入った道具を長く使える部品供給は根拠になる。長期使用の実態と、顧客が重視する価値かを確認する

この材料の範囲なら、「手入れの負担を減らし毎日使える」を中心案に置きます。顧客が評価する点と、商品が提供できることの両方に根拠があるためです。交換部品の供給は、使い続ける安心を補強する要素として生かせます。

コンセプトの説明文は、たとえば「日々料理をする人に、手入れの負担が少なく、使い続けやすい調理道具を届ける」と整理できます。ここから顧客に見せるコピーやデザインを検討します。

採用案とともに、選んだ理由、採用しなかった案の理由、追加確認が必要な点を記録します。顧客に確かめるときも、コピーの人気投票だけにせず、どんな商品だと理解したか、自分が使う場面を想像できるか、期待と違う点はないかを聞くと、見直す箇所が具体的になります。

商品と制作物に当てはめて確かめる

方向案が決まったら、代表的な商品や制作物に当てはめます。ここで、コンセプトの言葉から何を優先するかが判断できるかを確かめます。

調理道具の例なら、商品では分解や洗浄のしやすさを確認し、Webでは手入れの手順を見せ、広告では日々の料理と片づけの場面を検討します。写真の美しさに加え、使い方や手間の少なさが伝わるかを見ることになります。

どの案を選んでも商品説明や制作への指示がほとんど変わらないなら、顧客や価値の優先順位をもう一段具体化します。逆に、コンセプトを満たすために大幅な商品変更が必要なら、その投資も含めて採用を判断します。

制作会社や社内のデザイナーへは、コンセプトの一文に、対象となる顧客、伝える価値、根拠、必ず伝えたいこと、避けたい誤解を添えて渡します。Web、広告、店頭など、それぞれの接点で何を理解してもらうかも共有します。

ブランド方針をデザインへ落とし込み、制作案を確認する観点は、ブランドデザインの記事でも紹介しています。

utsuwaの実務で行った定義と制作への引き継ぎ

utsuwaが担当したある消費財ブランドの支援では、ブランド定義の整理に加え、代理店への依頼資料の設計、提案の評価、撮影・制作物の確認までを担当しました。

ブランドの対象と提供価値、商品が担う役割、コミュニケーション方針を整理し、依頼資料やレビューでは、目的、前提、判断基準、修正方向を具体化しました。ブランドの考え方を定める作業と、制作を進める作業をつないで扱った経験です。

この進め方では、コンセプトを説明する資料とあわせて、外部パートナーへ何を依頼し、提案のどこを確認するかも整えます。担当者や制作物が変わる場面でも、同じ方針を参照して判断できるようにするためです。

utsuwaは、ブランドの方向性や提供価値の整理から、それを伝えるクリエイティブと施策の具体化まで支援しています。支援内容はこちらをご覧ください。

自社で進める範囲と外部へ相談する範囲

商品や顧客をよく知る担当者が材料を持ち寄り、決定する人と判断基準を共有できているなら、まず社内で方向案を比較できます。既存ブランドの場合は、今の良さを何として残すかも話し合っておきます。

外部の支援を検討するのは、顧客理解の材料が足りない、複数部門の意見を整理できない、案を選ぶ根拠が定まらない、制作への依頼内容まで具体化できない、といった点で止まっているときです。

相談時には、対象の商品・サービス、現在の顧客や売れ方、検討中の案、決められずにいる点を共有できると、どこから整理するかを考えやすくなります。依頼先や頼む範囲を検討している方は、商品ブランディングの会社選びも参考にしてください。

ブランドの方向性から相談する

「商品の良さはあるが、ブランドとして何を伝えるかがまとまらない」「コンセプト案はあるが、商品や制作物へどう落とすか決まらない」。utsuwaでは、こうした段階から、材料の整理と方向性の検討を一緒に進めます。

完成したコンセプトや依頼書がなくても構いません。今ある資料や検討状況をもとに、必要な支援範囲を整理します。

ブランドの方向性から相談する

課題がまとまる前から、
ご相談いただけます。