売上を伸ばしたい。でも、広告を増やすべきか、Webサイトを変えるべきか、商品の見せ方から考え直すべきかが分からない。相談先を探しても、広告代理店、制作会社、ブランディング会社、コンサルティング会社と選択肢が多く、何を依頼すればよいか迷ってしまう。
マーケティング支援は、顧客や市場を理解し、商品・ブランドの売り方を考え、必要な施策の実行と改善を進めるための支援です。相談先を選ぶときは、自社でまだ決まっていないことと、外部に担ってほしい仕事を分けると、必要な支援が見えてきます。
この記事では、utsuwaの支援経験をもとに、状況別の相談先、依頼範囲の決め方、提案・見積もりの比較、初回相談の準備を整理します。
目次
まず「何が決まっていないか」を整理する
同じ「売上を伸ばしたい」という相談でも、必要な支援は異なります。対象とする顧客も伝える価値も決まっていて、広告の実行を頼みたい場合と、誰に何を伝えれば選ばれるかを一緒に考えたい場合では、依頼する仕事が違うからです。
まずは、次の3点を分けて書き出します。
- 起きていること: 商品の売上が伸びない、問い合わせが少ない、価格だけで比較されるなど、確認できている状況。
- 決まっていること: 発売時期、対象商品、予算の上限、使える販路、社内で担当できる仕事。
- まだ決まっていないこと: 優先する顧客、選ばれる理由、必要な施策、依頼範囲、成果の見方。
たとえば「Webサイトをつくり直したい」は、依頼内容の候補です。その背景が「商品価値が伝わらない」のか、「必要な情報にたどり着けない」のかで、調べることも制作する内容も変わります。相談時には、つくりたいものと、それで解決したいことを一緒に伝えます。
売れない原因そのものを整理したい場合は、いい商品なのに売れない原因の見つけ方と改善の優先順位も参考にしてください。
悩み別に、必要な支援と相談先を考える
会社の呼び名は、候補を探す入口になります。ただし、同じ広告代理店や制作会社でも、戦略から扱う会社と、特定の実行領域に強い会社があります。名称と実績のロゴだけで判断せず、今回の担当者がどこまで担うかを確かめます。
| 今の状況 | 必要な支援 | 相談先で確認すること |
|---|---|---|
| 商品はあるが、誰にどう売るかが曖昧 | 顧客・価値・販路・施策の整理 | 戦略を扱う支援会社などに、調査から実行方針の決定まで頼めるか |
| 価値や世界観が伝わらず、価格で比較される | ブランド方針と表現の設計 | ブランド支援会社などに、言葉・デザインと売る場面をつないで考えてもらえるか |
| 目的と訴求は決まり、広告やWebを実行したい | 制作・配信・運用と改善 | 制作会社や広告代理店などの、対応範囲と検証方法が合っているか |
| 各施策は動くが、全体の優先順位が決まらない | 方針整理、関係者の調整、進行と判断の支援 | 横断支援の担当者が、社内と既存パートナーの間で何を担うか |
制作物が明確なら、その領域に強いパートナーへ具体的に依頼できます。売り方の前提が曖昧なら、課題整理と方針づくりを依頼範囲に含めます。いずれの場合も、社内にある知識や実行力を確認し、足りない部分を補う体制を考えます。
実務事例|販売を広げたいという相談から、支援範囲を決める
utsuwaが関わったあるブランドでは、販売をさらに広げたいという相談を入口に、マーケティングの支援を始めました。そこで、拡大に向けて顧客からどのように認識される必要があるかを検討し、ブランドの方針や伝え方を整理する支援へ進みました。
取り組みは、ブランドの考え方を言語化することから、ロゴ、Webサイト、紹介資料、プロモーションへと広がりました。最初の相談を踏まえ、事業を前に進めるために必要な仕事を具体化した事例です。
ここから依頼側の判断に活かせるのは、初回から制作物をすべて決める必要はないということです。一方で、支援範囲を広げる場合は、「何を解決するために追加するか」「どこまで行えば今回の仕事が完了するか」を、その都度そろえる必要があります。
この事例では、企業・商品を特定する情報を省き、実際の相談と支援内容を紹介しています。売上の変化を支援単独の成果として示すものではありません。
既に代理店や制作会社がいても、相談できる
外部に相談するとき、今のパートナーを替える必要があるとは限りません。既存の担当範囲を確認したうえで、方針を決める役割、制作する役割、提案を評価する役割のうち、どこを補うかを考えます。
utsuwaの別の支援では、ブランドや商品の方針を整理し、制作パートナーへの依頼内容、提案・制作物の確認、調査・報告書の設計までをつないで扱いました。既存の専門家が動けるよう、依頼の前提と判断基準を具体化する仕事です。
複数の外部パートナーに頼む場合は、次の3点を事前に決めておくと、指示の重複や確認待ちを整理しやすくなります。
- 誰が全体方針をまとめ、社内の誰が最終判断をするか。
- 誰が制作・運用を担当し、誰が何を基準に確認するか。
- 修正依頼を誰が取りまとめ、費用や日程の変更をどのように確認するか。
戦略から実行・検証への受け渡しについては、マーケティングプロセスを実行・改善につなぐ手順と実務事例で詳しく解説しています。
提案と見積もりは、5つの項目で比較する
費用の総額だけを並べても、担当範囲が違えば比較しにくくなります。各社の提案を、次の項目でそろえて確認します。
1. 自社の課題を、どのように捉えているか
提案された施策に加え、その施策が必要だと考えた理由を聞きます。確認済みの事実、仮説、契約後に調べることが区別されているかを見ます。情報が足りない段階では、調査や診断を先に行う提案にも意味があります。
2. 何を納品し、どの仕事まで担うか
戦略書、制作物、実行計画などの成果物と、会議・調整・進行管理・運用などの業務範囲を確認します。戦略の提案後、誰が制作を依頼し、公開後に誰が改善するのかまで具体化します。
3. 実際に誰が担当するか
会社全体の実績に加え、担当者が過去の案件で何を担ったか、今回どの仕事に関わるかを確認します。窓口、判断を支援する人、制作・運用する人の分担が分かると、打ち合わせの進め方も判断できます。
4. 費用に何が含まれ、何が別途か
支援費、制作費、広告媒体費、調査費などを分け、見積もりに含まれる範囲を確認します。修正回数、追加対応、納品後の運用・保守、素材やアカウントの引き継ぎも、必要に応じてすり合わせます。
予算がまだ決まっていない場合は、上限の目安、実施したい時期、社内で担えることを伝え、範囲を分けた提案を求めます。まず課題整理まで行い、その結果を見て制作や実行を決める進め方もあります。
5. 何を成果として、いつ判断するか
売上、利益、有効な問い合わせなどの事業成果と、その途中で確認する顧客の行動を分けます。制作の完了や広告のクリックだけで今回の目的を評価できるか、確認しましょう。
成果を見る期間は、販売や商談にかかる時間によって変わります。過去の成果数字を聞くときも、対象期間、投資額、販売条件、その会社が担当した範囲を確認すると、自社で参考にできる部分を判断しやすくなります。
初回相談は、分かる範囲の情報から始める
詳しい依頼書がなくても、困っていることは伝えられます。初回相談に向けては、次の情報を分かる範囲でまとめます。
- 商品・事業: 何を、誰に、どこで販売しているか。
- 現状: どの数字や顧客の反応に困っているか。
- 目指す状態: 何を、いつごろまでに変えたいか。
- 実施済みのこと: 広告、営業、Web、店頭などで何を試したか。
- 体制と条件: 社内担当、既存パートナー、予算の目安、期限。
たとえば、「商品の販売を伸ばしたいが、広告を増やすか、売り方を見直すか判断できない。現在の販売状況と実施済みの施策を見て、優先順位から相談したい」という伝え方でも、相談の入口になります。
不明な項目は、そのまま不明と伝えます。初回の打ち合わせでは、次に何を確認し、どの範囲の支援を提案してもらうかまで決めると、相談を具体的な検討につなげられます。
マーケティング支援の相談でよくある質問
課題が整理できていなくても相談できますか?
課題整理から対応する会社であれば相談できます。「分かっていること」と「判断できないこと」を伝え、初回相談でどこまで扱うか、調査や診断が別途必要かを確認してください。
Webサイトや動画など、制作だけの依頼でもよいですか?
対応範囲が合えば可能です。制作物と一緒に、目的、対象顧客、伝えたい価値、利用する場面を共有します。utsuwaでも、具体的な制作物の相談から、必要な支援範囲を整理しています。
最初から長期契約や一括発注にする必要はありますか?
支援会社や仕事の内容によります。範囲がまだ曖昧なら、課題整理、戦略、制作、運用をどこで区切れるか相談します。区切る場合も、次の担当者へ渡す資料や判断内容を決めておくことが大切です。
売り方も、依頼する内容も、一緒に整理する
utsuwaは、新規事業・ブランドの立ち上げ、リブランディング、マーケティング戦略、クリエイティブ開発、実行・改善を支援しています。必要な領域だけの依頼や、既存パートナーと分担する進め方も含めて検討します。
「売上を伸ばしたいが、何を変えるべきか分からない」「制作を頼みたいが、依頼内容がまとまらない」。そうした段階から、現在の状況と目指す状態を伺い、必要な支援を具体化します。
編集:utsuwa。実務事例は支援記録および担当者の説明をもとに匿名化し、相談内容・判断・担当範囲を中心に整理しています。